1)JCHO九州病院の内科専門研修の目的、目標
2)当院の内科専門研修の特徴
3)内科専門研修プログラムの概要
4)3年間のスケジュール
- 内科系各Subspecialty(循環器科、呼吸器科など)の特徴は診療案内誌のPDF、HPの部門説明を参照ください。
循環器科、呼吸器科、消化器科(消化管、肝胆膵)、血液内科、腫瘍内科、腎臓内科、内分泌・代謝内科、神経内科、総合診療部 - コンタクトの取り方
JCHO九州病院ホームページ(https://kyusyu.jcho.go.jp/)
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職員課 国重または 副院長 山本英雄
1)JCHO九州病院の内科専門研修の目的、目標
JCHO九州病院内科専門研修では,基幹病院であるJCHO九州病院内科で専攻医1年目に,内科のすべての分野をローテートして内科主要疾患の基本的診療を身につけたうえで,専攻医2年目以降に疾患横断的診療や希望する専門分野のローテート(Subspecialty研修を含む)を行うことによって,より高い臨床能力を修得します。症例をある時点で経験するということだけではなく,主担当医として,入院から退院〈初診・入院~退院・通院〉まで可能な範囲で受け持ち,診断・治療の流れを通じ,一人一人の患者の全身状態,社会的背景や療養環境調整をも包括する医療をおこない,個々の患者に最適な医療を提供する計画を立て実行できるようになることが到達目標です。
また,JCHO九州病院がある福岡県北九州市・遠賀・中間医療圏は,日本でも最も高齢化が著しい地域の一つです。この医療圏を支える内科医としての素養が身につけば,これからの超高齢社会を迎える日本の医療を支える素養を身に着けることが出来るとも考えられます。
内科専門医として,1)高い倫理観を持ち,2)必ずしも最新ではなくとも最善の医療(最新の標準的医療)を実践し,3)安全な医療を心がけ,4)患者中心の医療を提供し,5)臓器別専門性に著しく偏ることなく全人的な内科診療を提供すると同時に,6)医師が要となるチーム医療を円滑に運営できる能力を養う研修を行います。
2)JCHO九州病院の内科専門研修の特徴
JCHO九州病院は,福岡県北九州西部医療圏の中心的な高次機能・専門病院であり,また急性期病院であるとともに,地域の病診・病病連携の中核です。したがって豊富な症例をもとに,高度な急性期医療,より専門的な内科診療,希少疾患などの診療経験を積み重ねながら,臨床研究や基礎的研究などの学術活動の素養を身に着けることができます。一方で,地域に根ざす第一線の病院でもあり,コモンディジーズの経験はもちろん,超高齢社会を反映し複数の疾患・病態を持った患者の診療経験もでき,地域病院との病病連携や診療所(在宅訪問診療施設などを含む)との病診連携も経験できます。
即ち、
(1) 内科に限らず全ての科において,重篤な救急疾患から教科書的な症例,非常に珍しい症例まで,あらゆる疾患を多数経験できます。内科の各学会での発表も多く,平成28年度の内科の学会発表は68件でした。そのうち31件を初期研修医とレジデントが発表しました。また28の論文のうちレジデントがfirst authorだったのは5つでした。各種研究会での発表74件のうち10件をレジデントが行っていました。
(2)内科全般の研修はもちろん,内科Subspecialty の専門科の臨床ができるようにプログラムを作成しています。初期研修で一部の研修しか経験できなかった,内科全般の十分な研修ができなかった場合でも,最初の1年間で内科全般を十二分に研修することが出来ます。
(3) 剖検率も高く(平成28年度の剖検は,内科での212名の死亡患者に対し13名)、2名の病理医が常勤しCPCにも力を入れています(毎月1回の院内CPCと5月の循環器CPCなど)。
(4) 地域の中核病院として発展し(地域支援病院,癌拠点病院,広域災害拠点病院に認定),内科学会認定教育病院,各種専門学会の研修施設病院です。当院の研修でほぼすべてのsubspecialtyの専門医取得が可能です。
(5)これまで研修医,レジデントは九州全域だけでなく,山口,広島,神戸,大阪,和歌山,京都,信州,東北,北海道など日本全国から集まっています。平成29年度の研修医は1学年11名(2学年で22名+九州大学からのたすき掛け研修医を合わせると24名),内科レジデントは16名,外科レジデントは4名,整形外科レジデント3名,麻酔科レジデント1名,小児科レジデントは4名などです。
3)内科専門研修プログラムの概要
本プログラムは,① 総合内科コース と ② 大学院コース の2つから構成されています。
2つのコースともにJCHO九州病院を基幹施設として,北九州・福岡地域や大分県・山口県にある連携施設・特別連携施設,および全国のJCHO病院群の中から北海道・九州地域にある連携施設で地域の実情に合わせた実践的な医療、内科専門研修を行うことができ,将来の日本の医療を担う広くバランスのとれた内科専門医を養成することを目的としています。また,いわゆるSubspecialty分野の研修はどちらのコースも2年目以降に組み入れています。
① 総合内科コース
基幹施設2年間+地域医療を研修する連携施設1年間の計3年間で,上記の総合内科医としての基盤を作り,且つ発展させるコースです。
② 大学院コース
基幹施設1年間+地域医療を研修する連携施設1年間の計2年間で総合内科としての基礎を獲得した後に,臨床や基礎研究のために当院の連携施設の一つである九州大学病院大学院へ進むコースです。
4)3年間のスケジュール
① 総合内科コース
連携施設A:JCHO人吉医療センターまたはJCHO宮崎江南病院での半年間の研修
連携施設B:JCHO登別病院またはJCHO湯布院病院,北九州医療センターなど
+東筑会東筑病院での3カ月ずつの研修
基幹施設であるJCHO九州病院内科で,専門研修(専攻医)1年目に1年間,2年目・3年目にそれぞれ半年間で計1年間,全体で2年間の専門研修を行います。1年目の研修は各専門内科を2か月ごとにローテートする予定です。2年目のJCHO九州病院での研修は,総合内科研修として,Aグループ(循環器,腎臓,呼吸器,内分泌代謝,神経内科疾患),Bグループ(消化器,血液,腫瘍)を3か月ずつローテートし,疾患横断的な重篤な患者も対象として研修する予定です(図1、図2参照)。
2年目・3年目のJCHO九州病院での研修期間外で計1年間の地域医療の研修を行います。
2年目からは希望と研修達成度を考慮して総合内科研修に加えてSubspecialty研修を開始します。専攻医1年目の秋~冬に専攻医の希望・将来像,研修達成度およびメディカルスタッフによる360度評価(内科専門研修評価)などを基に,専門研修(専攻医)2~3年目の研修施設を調整し決定します。
② 大学院コース
基幹施設であるJCHO九州病院内科で,専門研修(専攻医)1年目に1年間の専門研修を行います.この1年目の研修は総合内科コースと同じです。各専門内科を2か月ごとにローテートする予定です。2年目に北九州・福岡地域または大分県立病院,山口赤十字病院などの連携施設で地域医療研修を行います。地域医療研修は,総合内科研修として,疾患横断的な重篤な患者を主たる対象として研修し,且つ包括病棟や在宅医療など都市部の包括ケア医療を研修する予定ですが,希望と研修達成度を考慮して総合内科研修に加えてSubspecialty研修を開始します。
3年目に希望と研修達成度を考慮し,確実に内科専門研修終了の要件を専攻医2年目終了時までに満たしていると判定され,希望がある場合九州大学病院大学院への進学を行います。
満たしていないと判断された専攻医は,さらにJCHO九州病院または連携施設で総合内科的診療と同時にSubspecialty研修を行います。