眼科 後期研修プログラム紹介

眼科 後期研修プログラム紹介

はじめに

九州病院眼科の特徴はその手術件数・手術症例の種類の多さです。
昨年(平成16年年度)は800例を越える手術を行っています。眼科のベット数は25床で、年間を通じてほぼ満床で、そのほとんどが手術を必要とする患者です。診療の大まかな流は、近隣地域の開業医・総合病院の先生方からの紹介患者を外来で診察し、入院および外来での治療が終われば紹介医の先生に経過観察をお願いするシステムです。

19年度の手術内容

白内障 502例
網膜硝子体手術 340例
緑内障手術 70例
角膜移植手術 8例

医療設備

マルチカラーレーザー、YAGレーザー、光線力学的治療用レーザー(PDTレーザー)、光断層網膜解析装置(OCT検眼鏡)、蛍光眼底撮影装置、HRA Ⅱ、前眼部解析装置、角膜形状解析装置、レーザーセルフレアメーター、A,Bモード超音波検査装置(エコー)、超音波白内障手術装置、硝子体手術装置、眼内内視鏡、涙道内視鏡など。

スタッフ

部長 藤澤 公彦
部長 山中 一郎
医長 管原 美香
医員 武田 憲治
医員 仙石 昭仁
レジデント 白澤 誠

診察内容

網膜硝子体外来

糖尿病網膜症、裂孔原性網膜剥離、増殖硝子体網膜症、黄斑疾患(黄斑円孔、黄斑上膜、硝子体黄斑牽引症候群、加齢黄斑変性など)、眼外傷(穿孔性眼外傷、眼球破裂など)、などのうち手術治療の対象となるものに対して硝子体手術、網膜復位術(強膜内陥術)などを積極的に行っている。

未熟児・小児眼科

厚生省活動期分類I型3期以上に進行した例や中間型、II型に対してアルゴンレーザー治療を行なっている。また、屈折異常・斜視・弱視や網膜剥離など長期的合併症への対応も行なっている。

緑内障外来

緑内障は、点眼治療から開始し十分な眼圧下降が得られない例や視野障害進行例には眼圧下降を目的とした手術を積極的に行う。原発開放隅角緑内障、続発緑内障、先天緑内障、慢性閉塞隅角緑内障、血管新生緑内障などの各種の緑内障に対する点眼治療や手術治療(線維柱帯切除術、線維柱帯切開術、毛様体凝固術など)を行っている。新しい試みとして、選択的レーザー隅角形成術を行っている。

糖尿病網膜症外来

糖尿病網膜症は内科との共同治療により網膜症の進行予防を徹底的に行う。硝子体出血や網膜剥離などの進行した網膜症に対する硝子体手術は約250例行われている。術式は、硝子体切除と術中網膜光凝固が主体で、難治症例には水晶体摘出術と眼内レンズ挿入術、増殖膜切除術、眼内液空気置換術、シリコンオイル置換術、輪状締結術などを併用する。

白内障、外眼部疾患・腫瘍外来

白内障手術は386例と最も多く超音波水晶体乳化吸引術と眼内レンズ挿入術を行う。乱視矯正のための強主経線切開と小切開創に対応した折り畳み可能な眼内レンズを用い、術直後からの安定した良好な視力回復と長期安定を目的とした手術を行う。
また、内反症、翼状片、結膜弛緩症、眼瞼下垂に対する治療手術も行っている。

加齢黄斑症外来

平成16年の5月に日本国内で、光線力学的療法(PDT)が認可され、当院においても平成17年3月から実施している。本治療は、眼科専門医でかつ認定を受けた者のみがを行える治療である。当科には資格を持つ医師が3名在籍する。

研修プログラム

初年度(3年次)は指導医がついて病棟・外来の両方を担当する。
あらゆる検査(視力・眼圧測定、細隙灯顕微鏡検査、眼底検査、角膜内皮細胞数測定、角膜形状検査、涙液検査、超音波検査(ultrasonography)、動的・静的視野検査/ 斜視・弱視検査、蛍光眼底造影検査、ERG(electroretinogram)/ 視神経機能検査、精密網膜硝子体検査など)を自分で実施できるまで習熟する。4,5年度は各人の到達に応じて、目標を設定する。

以下に、大まかな内容を示す。

病棟 外来 手術内容
3年次 前半は副主治医
後半は主治医
あらゆる外来検査の習熟 外眼部疾患(眼瞼・結膜)
斜視、白内障
4年次 主治医 外来診察
新患は部長が二審
白内障、涙道再建
5年次 主治医 外来診察
新患は部長が二審
白内障・網膜剥離・硝子体疾患

年1回以上は学会・研究会で発表をさせる。
3年以内に少なくとも1編以上の論文を紙上に発表する。