下部消化管外科の紹介

診療・各部門

栄養管理室

小腸(空腸・回腸)、大腸(虫垂・盲腸・上行/横行/下行/S状結腸、直腸S状部/上部/下部直腸、肛門管)、肛門の手術を担当しているのが下部消化管グループです。疾患としては腫瘍(癌、消化管間葉系腫瘍(GIST)、悪性リンパ腫など)、急性感染性疾患(虫垂炎、憩室炎)、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)や肛門疾患(痔核、痔瘻、肛門周囲膿瘍など)が対象となります。小腸・大腸は全長が数メートルになるため、癒着による腸閉塞や重積・捻転、絞扼による血流障害・壊死・穿孔などが起こることがあり、その際は救命のために緊急手術(腸管切除術や人工肛門造設術など)を行います。

大腸癌の手術は年間150~200例あり、その他の対象手術を合わせると年間約300例程度の手術を行っています。2023年の下部消化管外科手術総数は308例でした。そのうち癌の切除手術は138例、緊急手術は96例でした。

当院では、以前から積極的に腹腔鏡下大腸癌手術を行っており、2022年6月からロボット支援下直腸癌手術を導入しました。現在8割以上を腹腔鏡下に行っており、より体にかかる負担が少なくなるように努めています。また、肛門に近い場所に出来た下部直腸癌に対し、癌の根治に問題なければ、肛門を切除(永久的人工肛門が必要)せず、肛門を温存する手術(一時的人工肛門は必要)を行っています。癌が全身に広がったり、周囲に浸潤しているために癌細胞が残らないような切除が出来ない状態になった方には、全身化学療法(抗癌剤治療)や放射線治療を手術と組み合わせて最終的に癌の根治を目指せるように、腫瘍内科や放射線科と協力し治療を行っています。

表:2023年下部消化管グループ手術の内訳

悪性疾患 原発切除 原発非切除
腹腔鏡 開腹
結腸癌 90(0) 17 7
直腸癌 30(8) 1 4
小腸悪性腫瘍 5

2

0
再発癌 0 2 2
良性疾患 腹腔鏡 開腹
虫垂炎 37 1
腸閉塞 5 33
大腸穿孔 0 16
憩室炎 1 0
人工肛門閉鎖 1 20
直腸脱 4 0

グラフ1:大腸癌手術例数の内訳・年次推移

202202_kabusyoukakan01

(文責 林 晃史)

(最終更新日:2024年4月1日)