診療の特徴や詳細情報(循環器科)

診療・各部門

栄養管理室

診療体制

毛利 正博、折口 秀樹、宮田 健二、菊池 幹、川村 奈津美、百名 洋平、桑原 志実、 前原 絵理、藤原 礼宜、加来 秀隆の10人体制で、外来および入院診療、心臓カテーテル検査、当直宅直業務を行なっています。

循環器内科レジデント、若槻 卓成、和泉 遼、大鶴 亘、内海 杏香、郡山 遥平が入院患者を受け持ち、スタッフの指導のもとで心臓カテーテル検査をはじめとする循環器疾患の診断・治療のトレーニングを行っています。また初期研修医がローテーションで、入院患者さんの担当医として循環器内科学の基礎臨床研修を行っています。

外来診療

外来は毎日2~3名の循環器内科医が診療を行っています。新患は基本的には医療連携室を通しての予約制です。急患については総合受付(093-641-5111)に電話していただければ、循環器の急患担当医に直接つながりますので予約は不要です (平日診療時間内)。夜間や土日祝祭日については救急外来担当医が対応し、24時間体制で専門医へ連絡いたします。

2021年の新患患者は1260名(前年986名)、再来患者はのべ9343(前年7,853)でした。コロナパンデミックの2020年に比べ、デルタ株の猛威の中でも基幹病院としての責務を最低限果たすことができました。ご紹介いただいた患者さんはもちろんのこと、これまでかかりつけ医のない初診の患者さんも、当院での診療後は原則としてすべて開業医の先生もしくは近隣病院の先生のもとへ紹介しています。

不整脈外来

月曜日から木曜日まで、外来担当医が対応いたします。また、不整脈学会専門医の菊池が水曜日・木曜日の担当です。簡単な病歴と心電図1枚で結構ですので、予約の際に「不整脈外来希望」とお伝え下さい。動悸の診察、期外収縮、心房細動などの診断や治療方針のご相談にご活用ください。その他の医師への紹介ももちろん可能です。

高血圧外来

月曜日から金曜日まで、外来担当医が対応いたします。主に二次性高血圧鑑別や治療抵抗性高血圧の検査治療にあたっています。そのほか高血圧による末梢臓器障害の評価や栄養指導など教育の強化などにも取り組んでいます。画像検査やホルモン検査のほか、症例にあわせて24時間血圧測定、睡眠時無呼吸検査、自律神経機能評価なども行ないます。評価終了後の治療については、紹介いただいた先生にお願いしています。

入院患者数

2021年の入院患者数は1,557名と、コロナ禍で落ち込んだ昨年より57名増え、過去最多でした。そのうち、44%におよぶ690名 が急患入院でした。在院日数の平均は11.6(前年比+0.1)日、中央値 [IQR] は7 [4, 14] 日でした。

疾患内訳、短期予後

虚血性心疾患(39%)、心不全/弁膜症(23%)、不整脈/失神(20%)の順に多く、これら三大疾患が全体の82%を占めました。入院患者に占める心不全の割合が増加しています。

入院されてきた患者さんの86%(1344名)は自宅へ退院され、147名(全入院症例の9%)がリハビリや治療継続のため他院へ転院されています。例年よりも自宅退院率が増加した一つの理由に、多職種による意思決定支援、ACP(advance care planning)が浸透していることが挙げられます。

緊急/準緊急手術目的で心臓外科に転科された方は18名(前年比+1)でした。また心血管死、非心臓死はそれぞれ35名、22名で、全入院患者数に対する死亡率はそれぞれ2.2(前年比+0.6)%、1.4(前年比-0.1)%でした。

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急性冠症候群(ACS)

急性心筋梗塞(AMI)、不安定狭心症、虚血性心肺停止を総称したACSは循環器緊急疾患の中で、もっとも迅速かつ的確な診断と治療が要求される疾患です。2020年には188名(前年比+35)の入院がありました。このうちST上昇型心筋梗塞(STEMI)は112名(前年比+17)でした。186名(99%)の方に冠動脈造影を、168名の方にカテーテル治療を施行しました。また待機的もしくは緊急バイパス手術も4名に施行しました。来院時心肺停止を除いた死亡は5名(死亡率2.7%)でSTEMI症例に限ると死亡3名(1.5%)でした。例年になく良い成績でしたが、今後もカテーテル検査/治療を24時間体制で行い地域の循環器救急医療に貢献し続けます。

冠動脈インターベンション(PCI)

1年間で473件のPCIを施行しました。当院の特徴は、急患患者が多いため緊急PCIの割合が全国平均より高いことです(155件、全PCIの33%)。休日夜間の場合はCCU当直医に加えて、2名の医師が登院して緊急PCIを行っています。高齢化のため、左主幹部病変への緊急PCI必要となっています。また、石灰化複雑病変に対しては、Rotablator・Diamondbackといった特殊治療を必要に応じ行っています。

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心不全

1年間の入院は、急性・慢性を合わせ351名でした。心不全の基礎疾患としては、弁膜症 (主として非リウマチ性AS、AR、MR)、亜急性/陳旧性心筋梗塞、高血圧性心疾患が三大原因です。
患者さんの年齢の中央値は81歳で、3分の1が85歳以上でした。在院日数の中央値は17日(前年比±0)、4週間以上の入院が必要であった割合は21%と、昨年より1%減っています。心不全診療に重点を置き、心不全手順書の作成やアドバンス・ケア・プランニングの多職種勉強会や緩和ケアチームと協力したオピオイドを含む症状緩和の経験も増え、在院日数は年々短縮しています。自宅退院は75% (前年72%)、転院による治療継続が必要な方は19% (前年22%) でした。院内死亡率は3.4%(前年4.4%)でした。近年は20%前後の転院率であり、地域連携シートを作成し運用を開始しています。

構造的心疾患(Structural heart disease)

当院TAVIチームでは、2020年5月より大動脈弁狭窄症(AS)に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)を開始しました。チーム一丸となり、2020年は11例、コロナ渦が続く2021年は25例に手術を行なっています。地域整形外科との連携もでき、高度ASを有する骨折例にTAVIを先行し、その後骨折の手術を安全に施行することができました。
また、僧帽弁狭窄症に対する経皮的経静脈的僧帽弁交連裂開術(PTMC)や、閉塞性肥大型心筋症に対する。経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)を適応患者さんには施行しています。

高齢者心不全の診療には重要な治療選択肢であり、今後もTAVIチームで質の向上に努めていきます。

下記QRコードの医療新聞にTAVIチームが掲載されています

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不整脈/失神

当院では1992年1月に(当時は九州厚生年金病院)、第1症例目の不整脈に対するカテーテルアブレーションを行って以降、WPW症候群・房室結節回帰性頻拍・心房粗動などの上室性頻拍を中心に、症例を積み重ねてまいりました。心房細動に対するカテーテルアブレーションは2006年度より本格的に開始致しました。治療成績は器材の進歩(3-D mapping、イリゲーション / コンタクトフォースカテーテル等)と共に向上しています。2016年以降、バルーンカテーテルによる肺静脈隔離術(クライオアブレーション)も導入され、現在では発作性においては9割弱、持続性においては薬物併用にて8割弱の成功率が得られています。現在、発作頻度の少ない発作性心房細動で起訴心疾患のない標準的な左房形態の症例に対してはクライオアブレーション、その他の発作性心房細動や持続性心房細動に対しては高周波アブレーションを第一選択として行っています。今年もコロナ禍が続いておりさまざまな問題もございましたが、先生方のご支援のおかげで、2021年度は154症例のカテーテルアブレーションを行いました。やはり疾患の比率としては、他施設と同様に徐々に心房細動の割合が上昇しており、2021年度は112症例と全症例の72%を占めています。

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不整脈植え込みデバイス各論

不整脈植え込みデバイス(ペースメーカ・植え込み型除細動器・両室ペースメーカ・植込み型心電計等)の管理は、デバイスチーム(不整脈専門医、臨床工学技士および看護師からなるチーム)で行っており、基本的な機器管理に関しては院内スタッフのみで完結できる体制が整っています。新規植え込み症例は、全手のデバイスで条件付きMRI対応型および遠隔モニタリング対応となっており、遠隔モニタリングに関しては臨床工学技士が中心となって管理を行っております。

1. ペースメーカ(PM)

ジェネレータ(本体)交換症例に関しては、使用中の古いペーシングリードの製品によってはジェネレータ交換後に条件付きMRI対応となる場合があります。リードレスPMの植込みも行っておりますが、基本的な機能については従来の経静脈リードを用いたPMの方が優れているため、慎重に適応症例を選んでおります。PMは製造メーカーにより付加機能が異なっており、適応疾患、日常生活動作などを考慮して症例毎に適した機種を選定しております。

2. 植え込み型除細動器(Implantable Cardioverter Defibrillator, ICD)

ペーシング機能が不要な症例に対しては、皮下植込み型除細動器(S-ICD)の植込みも行っております。ICDも機種によって特性があり、患者さんに適していると考えられる機種を選定しております。

3. 両室ペースメーカ(心臓再同期療法; Cardiac Resynchronization Therapy, CRT)

低左心機能の慢性心不全症例について、心機能改善を目的として植込みを行っています。致死性不整脈を合併した症例に対してはICDを持ち合わせたCRT-Dを、致死性不整脈を合併していない症例に対してはCRT-Pを植込んでおります。左心室リードについては機能に優れた4極リード型を使用しておりましたが、2020年4月よりサイドへリックスを備えた4極リード(Attain StabilityTM Quad, Medtronic社)が市販され、従来よりも理想的な位置に高い安定性を持って留置出来ることが期待されています。

4. 植え込み型心臓モニタ(Insertable Cardiac Monitor, ICM)

植込み型ループレコーダ(ILR)と呼ばれていたものです。現在2社から市販されておりますが、いずれも小型であり、外来での植込みも可能となっております。遠隔モニタリング機能により、不整脈の診断後速やかに治療(PM、ICD、カテーテルアブレーションなど)を行うことが可能で、イベント心電計でも診断のつかない失神症例に対して非常に優れた診断能を発揮します。また、心房細動を検出するための潜因性脳梗塞患者への使用も適応となっておりますので、お困りの症例がございましたらお気軽にご紹介下さい。

5. MRI撮影

条件付きMRI対応デバイスを植込まれた症例のMRI撮影については、MRIモードに設定変更の上でデバイス担当医師、臨床工学技士の立ち合いの元撮影を行っております。このため、現時点では原則木曜日午後の固定枠での撮影となっております。MRI撮影のみの依頼については、放射線科へ依頼をお願い致します。

不整脈植え込みデバイス実績

2020年:ペースメーカ:139例(交換55例)、ICD:12例(交換4例)、CRT-P/CRT-D:15例(交換/upgrade 7例)、ICM:5例

循環器科の後期研修を希望される皆さんへ

当院循環器科の後期研修のご案内は、循環器内科後期研修プログラムのページをご覧ください。

循環器科業績(2014年以降)

当院循環器科の2014年以降の業績は、循環器内科業績(2014年以降)のページをご覧ください。

循環器科のトピックス

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