診療の特徴や詳細情報(脳神経外科)

診療・各部門

栄養管理室

脳神経外科の紹介

昭和49年秋開設され北九州市内では最も古くからある脳外科の一つです。
脳腫瘍や脳血管障害を中心に脳神経外科のほぼ全分野の治療を行い、また当院に新生児集中治療施設(NICU)があるため、小児の先天奇形の症例(水頭症、脊髄奇形等)に豊富な経験を有し、子供さんの治療に小児科医の協力を得ながら当たっています。
また、2002年6月中旬から神経内科、放射線科と協力して脳卒中チームを立ち上げ、24時間脳卒中の患者さんの受け入れができるようになり、近隣の病院、開業医の先生方からの紹介も増えています。日本脳卒中学会認定研修教育病院として積極的に脳卒中医療にとりくんでいます。

今後の方針

脳腫瘍
無症状の良性脳腫瘍に対しては、厳密な経過観察を行い、必要があれば手術を行うことにしています。しかし、腫瘍により何らかの症状をきたしている場合には、手術や放射線治療を勧めています。

脳血管障害
(i)クモ膜下出血
症例により開頭クリッピング術とコイル塞栓術を使い分け、再破裂予防を行った後、発症後2週間以内に生じる脳血管攣縮による脳梗塞の予防・治療を行います。水頭症が生じた場合には脳室-腹腔シャント術・腰椎-腹腔シャント術を行っています。

脳出血
救命ならびに機能改善目的で、開頭血腫除去術やCT誘導下定位的血腫除去術を行い、早期リハビリに努めています。

脳梗塞
TIAや脳梗塞の患者さんは神経内科の協力を得て診療しています。また、tPAやカテーテルによる血栓回収術が行える体制も整っています。また、厳密な評価のもとEC-ICバイパス術・CEA・CASも行っています。

救急患者受入態勢

日中は直接または救急部経由で、夜間は救急部経由で救急患者を受け入れています。

診療実績

  入院患者数(人) 新患外来患者数(人) 再来外来患者数(人)
2022年 145 296 2,529
2021年 193 309 2,037
2020年 213 278 2,166
2019年 252 335 1,892
2018年 251 365 1,900

手術件数(2017-2019年)

  手術件数 主な手術(件数)
2022年 105 脳腫瘍摘出術(8),動脈瘤クリッピング術(8),動脈瘤塞栓術(9)
脳内血腫除去術(8),慢性硬膜下血腫(47),脳室シャント術(13)
2021年 130 脳腫瘍摘出術(8),動脈瘤クリッピング術(8),動脈瘤塞栓術(9)
脳内血腫除去術(5),慢性硬膜下血腫(35),脳室シャント術(12)
2020年 114 脳腫瘍摘出術(7),動脈瘤クリッピング術(15),動脈瘤塞栓術(1)
脳内血腫除去術(7),慢性硬膜下血腫(45),脳室シャント術(8)
2019年 156 脳腫瘍摘出術(19),動脈瘤クリッピング術(14),動脈瘤塞栓術(6)
脳内血腫除去術(8),慢性硬膜下血腫(65),脳室シャント術(13)
2018年 130 脳腫瘍摘出術(10),動脈瘤クリッピング術(14),動脈瘤塞栓術(5)
脳内血腫除去術(7),慢性硬膜下血腫(45),脳室シャント術(15)

最後に

時代の変化でしょう、患者さんがいろいろな情報を得ておりそれを考慮しながら治療を進めていかねばなりません。ただ、必ずしも患者さんが十分に理解されているとは限らず、断片的な理解で結局患者さんにとって不利と思える選択をされる場合には心が痛みます。従って患者さんが疾患を理解できるよう極力説明の機会を多くとるようにしていますが時間の制約と、患者さんの理解度にも限界があり、なかなか難しいところです。診断技術の発達は(特にMRIの精度の向上がその最たるものですが)患者さんの症状がほとんどない状態で偶然に、しかし放置できない部位に病変を見出すことが多くなりました。こうした場面で患者さんに将来起こりうる症状を説明し、できれば病変が小さいうちに治療を勧めています。しかし、実際症状がないうちに、合併症が起こりえる(しかも重大な合併症の場合もある)開頭手術などを受ける事を決断するのは患者さんにとって大変勇気のいることと思います。一方手術する側も勇気を必要とします。だからこそ患者さんとより綿密に話し合いを行い、患者さんと医師とが協力して疾患に対処してゆく姿勢がますます重要になってくると思われます。「木を見て森を見ず」にならないよう、患者さんの今後の生活全体のなかで、その疾患の占める位置を考えて、最適の治療を行なうよう心がけたいと考えています。