診療の特徴や詳細情報(中央検査室)

診療・各部門

受付・中央採血室

臨床検査技師が外来患者さんの検査に必要な採血を行っています。

検体検査室

病院は新築移転を機にオーダリング システムが採用され、検体部門も臨床検査システムが更新されました。設計設備ではワンフロアー化や検体室に隣接した中央採血室の配置、また生化学分析装置と分注機の検体自動搬送、さらに自動再検・承認の採用など作業が大幅に効率化され、外来部門では診察前報告体制が強化されました。入院部門でも早朝採血の結果を9時に報告するため技師が早出体制をとるなど、検体検査結果の迅速化を確立しました。

検査の正確性では、内部精度管理として毎日のコントロール測定は当然の事、使用する純水の評価や各分析装置の点検、冷蔵庫の温度まで全ての情報を記録して一覧表を作成し正確性を追及しています。外部精度管理では、全国規模の日本医師会、日本臨床検査技師会サーベイは勿論、福岡県月例サーベイにも参加し成績をチェックして当検査室の精度を毎月確認しています。その他、糖尿病療養指導認定技師3名での患者指導や栄養サポートチーム(NST)などに参加し、積極的に臨床現場で活動しています。

検査の内容

  1. 生化学検査
    微量の血液で、短時間で多項目を測定できる自動分析機を使用し、GOT・GPTなどの血清中の酵素成分をはじめ、尿素窒素・クレアチニンなどの含窒素成分、コレステロール・中性脂肪などの脂肪成分、鉄・マグネシウムなどの生体金属成分、約30項目を迅速測定しています。
  2. 感染症検査
    HIV、B型肝炎、C型肝炎や梅毒などの感染症を主として血液を用いて検査しています。
  3. 免疫血清検査
    腫瘍マーカー、甲状腺ホルモン、血中薬物濃度、リュウマチ因子、ASO、免疫グロブリンなどを測定しています。
分注装置と生化学分析装置の自動搬送
検体検査室1
検体検査室2
検体検査室3
検体検査室4
検体検査室5
検体検査室6

輸血管理室

安全で適正な輸血を目標に、輸血認定技師が年間7,000単位の赤血球製剤管理を行っています。輸血療法委員会で廃棄血削減などにも力を入れています。

検査項目と検査内容

  1. 血液型
    ABO型、Rh型を調べます。
  2. 不規則抗体スクリーニング検査
    患者血清中の不規則抗体の有無について調べます。
  3. クロスマッチ
    輸血の際、受血側(患者側)と供血側の血液を試験管内で反応させ、血液が適合するかどうかを検査します。
赤血球製剤と血液型の試薬

血液検査室

検査項目と検査内容

  1. CBC
    自動血球計数装置で、白血球数、赤血球数、血小板数などを計測し、貧血、感染症、白血病、出血傾向などを検査します。また、白血球を各種類(好中球、リンパ球、好酸球、好塩基球、単球)に分類することが可能で、さらに詳細な情報が得られます。
  2. 血液像
    CBCの結果をもとに、必要に応じて血液標本を作製・染色し、顕微鏡下で白血球を分類します。また、異常細胞の出現や形態異常の有無についても詳しく観察し診断の補助とします。
  3. 骨髄穿刺検査
    血球数や血液像に異常があった場合、白血球、赤血球、血小板の産生工場である骨髄を採取し、細胞数、細胞分画、染色体などの検査を行います。
  4. 特殊染色
    血液疾患の鑑別を目的に検査します。
  5. 溶血試験(HAM試験、Sugar Water試験)
    赤血球が壊れるために起こる貧血(溶血性貧血)を調べる検査です。
  6. LE細胞試験
    全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患の診断に有力な検査です。
  7. 凝固・線溶検査
    血液中の凝固因子(血を固まらせる)の機能や線溶系(血中にできた血栓を溶かす)の機能、また抗凝固療法などのコントロールを目的に検査します
血液検査室1
血液検査室2

一般検査室

検査項目と検査内容

  1. 尿定性検査
    尿中の成分などを化学的に測定します。通常は試験紙と呼ばれる棒状のスティックに試薬をしみ込ませた濾紙を用い比重、PH、蛋白質、ブドウ糖、ケトン体、潜血、ウロビリノーゲン、ビリルビン、亜硝酸塩、白血球の検査をします。
  2. 尿沈渣
    尿を試験管に取り遠心分離させると、管底に有形成分がたまります。この成分を顕微鏡で観察し、分類します。
  3. 便潜血検査
    潰瘍・腫瘍(大腸癌など)・炎症・感染症・痔などによって出血している場合、便中にも血液が混じることがあります。このような場合、便の潜血検査を行うことにより病変が推察されます。化学法と免疫法があり、前者は食事制限(肉類全般や生野菜など)の必要があります。当検査室では免疫法を行っており下部消化管(大腸)からの出血に有用とされています。
  4. 髄液検査
    髄膜炎、脳炎などの炎症性疾患、神経梅毒、脳腫瘍、多発性硬化症の診断には不可欠の検査です。日常検査として実施されるのは外観観察、比重、細胞数と好中球/リンパ球(N/L)比、総蛋白量・ブドウ糖の定量です。
  5. その他
    胸・腹水・精液などの細胞数などの検査を行っています。
一般検査室1
一般検査室2

細菌検査室

細菌検査室の主な目的は、感染症の疑われる患者さんから採取された検体にある病原微生物を検索し、適切な治療のための情報を出すことです。たとえば、肺炎を起こしている患者さんの喀痰から、肺炎を起こしそうな病原微生物を検索し、その微生物名を決定(同定検査)し、どういう薬がその微生物に対して有効であるか(薬剤感受性検査)の情報をもたらします。

具体的には、大きく分けて2つ検査の進め方があります。一つは検体を染色して顕微鏡で観察し、菌を適切な培地に植えて培養し発育させ検査を進めていくやり方です。目的とする菌によって、一般細菌(ブドウ球菌や大腸菌など)検査と結核菌を目的とした抗酸菌検査に区分されます。

もう一つは、培養せずに検体中にある病原微生物や毒素を直接検索する方法です。当検査室では、この方法を迅速診断検査と呼んでいますが、インフルエンザウィルス、ロタウィルス、アデノウィルス、クラミジア、A群溶連菌、CD毒素などを目的とした検査を実施しています。

現実的には、生活環境の整備・改善、抗菌薬の開発、医療技術の進歩などにより多くの強毒菌による感染症が治療可能になった反面、弱毒菌特に多くの抗菌薬に耐性の菌による院内感染も問題となっています。患者検体からの起因菌検索、感受性報告だけでなく、院内感染防止対策委員会やICTへ的確な情報を提供することで感染防御の中心的役割を果たしています。

細菌検査

 

O-157菌の培養状態と顕微鏡写真(グラム染色)

 

結核菌の培養(小川培地)状態と顕微鏡写真(チールネルゼン染色)

病理検査室

専従病理医2名のもと、術中迅速を含む病理組織標本作製(6,900件/年)、病理解剖の介助を行っています。診断に必要な一般免疫染色やER・PgRレセプター、HER2蛋白などの特殊免疫染色も多数行い、病理診断をサポートしています。

細胞診は5名の細胞検査士が、通常のスクリーニング検体だけでなく術中迅速細胞診や乳腺穿刺、CTガイド下肺穿刺、EBUS採取検体など9,500件/年を行っています。電子カルテ化により診断結果だけでなく、組織や細胞が顕微鏡画像付で電子参照できるようになり、患者説明などに利用されています。

病理検査室1
病理検査室2
病理検査室3
病理検査室4
病理検査室5
病理検査室6

写真室

写真室の歴史は古く、病院創立まもない1958年に誕生して現在にいたっています。15年くらい前までは、情報伝達手段としてアナログ写真が多用されていましたが、アナログ医学写真技術の応用は1985年くらいを頂点として減少しました。その変革の主たるものは画像のデジタル化です。

当写真室も1995年4月よりパソコンによる画像処理をはじめまして、その数は増えつづけていますが、2000年9月からは小型デジタルカメラでの撮影も取り入れました。さらに2002年6月より本格的一眼レフデジタルカメラを導入し、2004年の新病院移転後はデジタル画像のみを扱っています。

創立から1997年3月までは中央写真室として独立していましたが、組織改革により1997年4月から2001年3月までは臨床研究部所属となり、さらに2001年4月より中央検査室所属となって現在にいたっています。

業務内容は人体撮影、術中、剖検、摘出臓器や各種複写など写真撮影、画像処理の医学写真を中心に、病院行事や広報関係の一般写真も扱っています。

スチール写真以外では、ビデオ撮影、編集、ダビング、アナログスライド・プリントからのデジタル変換、VHSビデオやシネフィルムからデジタル変換、各種動画のファイル変換などを取り扱い、電子カルテにもアップロードしています。また、学会や院内広報用にB0サイズまでのプリント作業もしています。その他、ホームページの更新作業や院内Webの作成など、画像に関係する仕事を幅広くしています。

生理検査室

当院生理検査室は19名を配置しています。生理室で多くの検査は実施されますが、心臓手術後や心筋梗塞後等の心臓リハビリテーション、心臓カテーテルでの検査や治療、肝腫瘍焼灼術では各現場で医師・看護師・他のコメディカルと共にチーム医療に参加しています。

また時間外急患の心筋梗塞治療である心臓カテーテル検査に対応できるよう宅直制度で24時間待機しています。

生理検査室の詳細情報は、生理検査室のページをご覧ください。

時間外検査

臨床検査技師全員で輸血・心電図を含む緊急検査45項目の30分報告をめざしています。24時間365日、何時でも検査ができることで救急医療の一翼を担っています。